最期の時間を君と共に
小学3年生 春。

私とゆずきが初めて同じクラスになった年。
ゆずきはその頃から人気が高かった。例えるならば、ゆずきが太陽で、私たちが向日葵。ゆずきが笑えば、私たちは2度見してしまうほど。それほど、彼女には魅力があって、人気者だったのだ。私からしたら、遠い人。仲良くなりたい人。仲良くなんて、叶わない夢だけど、誰もが思っただろう、彼女と友達になりたいと――。

私とゆずきが仲良くなったきっかけ、365日のうちの、ほんの1日のこと。その日、私と行動を共にする友達が、風邪で休んだのだ。私は、その子のことをよく思っていなかった。趣味が合わず、中々話が合わない。どちらかが無理しないと成り立たない関係。ぐらぐらの関係。だから、風邪で休んでくれて、喜んでいる自分いたのだ。

「うわっ……最悪」

休み時間が終わるまで、残り5分。階段を慌てて登っていると、あと少しで踊り場に着くというのに、筆箱が落ち、鉛筆があちらこちらに落ちた。
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