最期の時間を君と共に
「……ゆずきと話す時は楽しそうだよね」

ゆずきは目を丸くしてから、また笑い出した。

「そりゃまぁ、幼馴染だもん」

「そっかー」

仲の良い幼馴染がいるっていいなあ。羨ましい。

「あ、ゆずきー。算数の教科書忘れたから、貸してー」

げっ……。誓じゃん。心の声がもれていたのか、それとも顔に出ていたのか。さっきまで普通だったのに、しかめっ面に変わった誓。

「はいはい。忘れすぎだよ、もう」

ごめんね、遥、と言ってから、教科書を取りに教室に戻っていった。私と誓は2人きり。気まずいなんてもの、とっくに通り超えている。
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