最期の時間を君と共に
「いただきまーす」

母さんの料理が1番好きだ。優しいんだ、味が。薄いんじゃない、優しい。口に優しく染み込んでいくんだ。

「ヤヨイ、もう行くな。誓、今日パーティーだからな?忘れたらダメだぞ。行ってきます」

「わかったわ、いってらっしゃい」

ヒラヒラと手を振って、いってらっしゃいと伝える。

「誓、お母さんももうすぐ行くし……。パーティーの飾り付けお願いしてもいいかしら?折り紙で作るあれよ」

折り紙のあれ、と言われたらあれしかない。することもなかった俺は、了承した。

「ご馳走様」

「お皿片付けるわー」

前までなら、時間がないから洗ってちょうだい、と言っていたくせに。なんか違和感があるなぁ。でも、言葉に甘えてる俺はダメなやつかな。
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