最期の時間を君と共に
「……今日は、誓が主役のパーティーよ。楽しくなりそうね」

鼻歌を口ずさんでいる母さん。相当楽しみなようだ。自分の母ながら呆れてしまう。

「なによ、楽しみじゃないっていうの?」

ため息を吐いたのが聞こえたようだ。

「……嬉しいけどさ。俺、またいなくなっちゃうんだぞ?無意味じゃねぇの、パーティーなんて」

カチャン、静かに皿を置く音が響く。

「無意味なわけないでしょう。……あなたが成長しているのは、思い出があるから。滑り台を反対に登っていくのには、勢いがいると知っているのは1度体験したから。体験したのを、思い出として心に刻み込んだから。……今日のパーティーだって、思い出となり、いつか必要になるときがくるのよ」

「なら、いいけど……」

「今日はめいいっぱい楽しみましょ!」

母さんの笑顔に驚きながらも、笑い返した。
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