最期の時間を君と共に
「……ん」

「え?」

「せっかく作ったんだもん。……渡さないと勿体ないでしょ」

まさか、俺にもあるとは思わなかった。
俺たちは今、大変気まずい状況にある。さっきのパーティー中のからかいだ。ゆずきは食べ終わると同時に上にあがった。俺もあとを追うように食べ終え、ゆずきの元へ向かった。部屋の中には必死にメッセージカードを作っているゆずきがいた。彼女は、俺を見て、気分悪くなったよね、ごめん、と謝ってきた。そして、私も馬鹿だったみたい、と。やはり、とんだ勘違いをさせてしまったようだ。俺は、違うんだ、と否定してみたものの通じるわけがなく、追い出された。なんでこうなっちまうかな……。自分が悪いのは分かっているが、人に当たりたくなってしまう。ダメダメだ。
受け取ったメッセージカードをじっと見つめ、ありがとうと言った。ゆずきは頷くだけで、喋ってくれない。

「ヤヨイちゃん、ケイさん、ありがとう。お邪魔しました」

「お邪魔しました」

「今日は楽しかったわねぇ!こちらこそありがとう」
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