最期の時間を君と共に
――ぶーぶー

俺のスマホが規則正しく震える。滅多に電話なんかかかってこないのに。
……珀からだ。
出ようと思い、手を伸ばしたが引っ込めた。出たら、話長くなりそうだし、風呂上がってから出よう。一旦、電話を無視する。
そして、窓からゆずきの家を見た。明かりがついている部屋は、ゆずきの部屋、リビング、畳の敷かれた部屋だ。何度め我が家のように通った彼女の家の部屋なんて、把握しきっている。また、幼い頃のように遊びたい。なんて、今思うなんてな。……告白できねぇかもしれねぇな。珀にあんなに言われたけど。
ピロン、スマホがなる。これもきっと珀からだろう。あとで電話してきて、みたいなやつかな。

「誓ー、沸いたわよー!」

階下から母さんの声がする。声張りすぎて、最後ガラガラになってるし。

「今から行くわー」

必要なものを手に取り、風呂場へ向かった。
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