最期の時間を君と共に


「珀ー?」

風呂あがり、早速珀に電話をかけた。すぐに通話が始まる。

『誓?ごめん、遅くに』

「いや、大丈夫」

今は夜の11時前。相当のことがない限り、電話に出る気はわかない時間帯だ。でも、今回はきっと相当のことにあたるもの。ゆずきに関することだろうから。明日じゃ遅い。今聞きたいのだ。
しばらく沈黙の時間が続く。やっと口を開いたのは珀だ。

『振られたよ、ゆずきに』

俺が無理に押したせい。これは紛れもない事実だ。

「ごめん……」

『今更、謝られても困るんだけど』

この文面を見ただけであれば、怒っているようにみえるだろう。だが、珀は自嘲気味に言っており、怒りを通り越した感じだ。
< 175 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop