最期の時間を君と共に
「珀ー?」
風呂あがり、早速珀に電話をかけた。すぐに通話が始まる。
『誓?ごめん、遅くに』
「いや、大丈夫」
今は夜の11時前。相当のことがない限り、電話に出る気はわかない時間帯だ。でも、今回はきっと相当のことにあたるもの。ゆずきに関することだろうから。明日じゃ遅い。今聞きたいのだ。
しばらく沈黙の時間が続く。やっと口を開いたのは珀だ。
『振られたよ、ゆずきに』
俺が無理に押したせい。これは紛れもない事実だ。
「ごめん……」
『今更、謝られても困るんだけど』
この文面を見ただけであれば、怒っているようにみえるだろう。だが、珀は自嘲気味に言っており、怒りを通り越した感じだ。