最期の時間を君と共に
『多分、居場所つくれない。誓だからこそ、居場所になれたんだよ』

この言葉に返す、相応しいものはなに?見つからない。必死に探したって、見つからない。

『すごい困った顔してた。……凶器を突きつけられたみたいな顔』

見たくなかったよ、あんな顔。と、珀は付け足した。

『驚いただけ、なんて言ってたけど。凄まじいものだった……。見なくちゃ、いけなかったのかな。見る、運命だったのかな……?』

「……分からない」

ポロッと出た言葉は、あまりにも無責任で、あまりにも酷いものだった。しまった、そう思ったときには遅かった。

『無責任、だよね。あんなに真剣に頼み込んできたわりには、分からないなんて。頼み事するんだったら、ある程度予想してから言ってよ。無責任……だ』

そりゃそう言われるのは当たり前だ。全ての非は俺にある。だから、見つからないんだ。全て、残酷な慰めにすぎないから。
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