最期の時間を君と共に
「……あのさ。どう……?未練のほうは」

おずおずと言う。もう折り返し地点なのだ。気にならないわけがない。

「思い通りに進めば、未練は解消できる」

嬉しそうに話している誓を見れば、本当に大丈夫なんだと分かる。ホッとため息を漏らすと、誓は心配すんなと、またオムライスを頬張った。

「……初めてゆずきに作ってもらった料理、俺は覚えてる」

急にそんなことを言い出した。へ、と間抜けな声を出したが、微笑んで頷いた。初めて料理をご馳走したときは、中学2年生のとき。焼きそばを作ったんだよね。あのときも、美味しそうにニコニコしながら食べてくれた。

「覚えててくれたんだね。……今までたくさん作ってきたのに。ありがとうね」

「んな感謝されるもんじゃねぇよ。嬉しかったから、覚えてんだよ」

いつだって嬉しい言葉をくれる。そうやって、私の心を揺るがすんだ。

「……うん」

ありがとう、ありがとう、ありがとう。伝えても伝えても言い足りない感謝の気持ちを、どうやって満足いくまでに伝えられるだろう。
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