最期の時間を君と共に

「ただいまー」

「おかえり、お母さん」

夜の9時頃。仕事からお母さんが帰ってきた。

「あ、そうそう。ゆずき、あなた明後日誕生日でしょう?どんな物が欲しい?」

そうだった。私の誕生日だ。……誓がいなくなってしまう日に、私は歳をとるのか。なんだか、複雑。誓は覚えてるかな?毎年、お祝いしてくれているけど、今年は忘れてるかも。自分で精一杯だろうし。

「うーん、お母さんのおすすめで」

「えー、いいの?おまかせ?」

今パッと出てこないんだよねぇ……。首を捻らせて唸るがやはり出ず。

「分かったわぁ。ケーキはチョコよね?」

「うん!」

私の大好物はチョコケーキ。毎年、私の誕生日はチョコケーキだ。

「本当に好きねー。今年も美味しいケーキを買ってくるわね」

「ありがとう!」
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