最期の時間を君と共に
パッと貼り付けた偽りの笑みで返事する。無理矢理上げた口角は引き攣っているかもしれない。お母さんには見抜かれているかもしれない。それでも、バレないんじゃないかと小さな可能性に賭けて、偽りの笑みをつくった。
今年は素直に喜べない。誓がいなくなってしまう日に自分の誕生日なんて、喜べるはずがないよ……。


“どうしたの?風邪?ゆずきが休むなんて珍しいじゃないの。あと……なにかあった?溜め込んじゃダメだからね”

寝る前、最近LINを開いていないことに気づき、開いたのだけど……。遥から心配されていた。やばいな……。遥はかなりの心配性だから、今日も返事しなかったら家に来たりするかも……。

“ごめん、気づいてなかった。大丈夫だよ、心配しないで。もう少し休みます”

送信っと。
次にはーくん。

“ゆーちゃん、本当にごめん。”

短い文がきていた。そんなに、謝らなくていいのに……。私は別にたくさん謝られたって嬉しくないよ……。

“そんなに謝らないで。これからも今まで通り話していいかな……?”
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