最期の時間を君と共に


「つ、着いた……」

自転車を漕いで約40分。特別キラキラしている訳では無いが、高級感漂う外装の店に到着した。滅多に抱かない緊張と共に、足を店に踏み入れた。

「いらっしゃいませ」

無駄に語尾を伸ばさず、角度を守ったお辞儀。つい、俺まで頭を下げてしまった。さすがは高級店というべきか……。どこもかしこもキラキラしている。人生で初めてのキラキラさに目が眩む。
ふぅ、と一息ついてからネックレスコーナーに向かう。
何十種類ものネックレスを前に、顔が歪んでしまう。頭を横にふるふると振って気合いを入れ、ジッとネックレスを見ていく。

「彼女さんへのプレゼントですか?」

「……え?」

俺の隣に、営業スマイルを浮かべた女性が立っている。派手すぎず、程よいくらいのメイク。香水の臭い匂いもしない。
……じゃなくて、彼女……?

「彼女じゃないですよ」

きっぱりと否定すれば、目を見開いてびっくりしたアピールをされる。
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