最期の時間を君と共に
「そうなんですね、失礼しました。あまりにも真剣に見ていらっしゃったので……」

そんなに真剣に見てしまっていたのか……。少し恥ずかしい。

「まぁ……大切な人ですね」

「ふふ、いいですね」

ちなみに、と女の人は続ける。

「ネックレスをお渡しになられるんですか?」

「あ、はい」

ゆずきがサユリさんから貰った、ネックレスを。1年前の物だから、あるのだろうか。

「当店の人気商品はこちらになります」

綺麗に揃えられた指が指した先には、高校生がつけるのには少し早いような大人っぽいゴージャス感あふれる物。うーん、と苦笑いを浮かべると女の人はまた笑みをつくった。

「私情を挟んでしまいますが……、こちらオススメですよ。あまりキラキラしておらず、どちらかというと高校生の方々のような若い方向けの商品でございます」

「あ……っ」

ピッタリだ。ゆずきがサユリさんから貰った物とよく似ている。違うところは見た感じ1つ。ハートが1つから2つに増えただけ。食い入るように見ていると、女の人は俺から離れた。かと思いきや、手に箱を乗せて帰ってきた。
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