最期の時間を君と共に
目を閉じて、夢を思い浮かべる。これからの未来だ。あの時、俺が交通事故にあってなかったら、の話だ。
まず、11月22日、今日だな。ここにきてネックレスを購入する。23日、ゆずきの誕生日パーティーを開いて、謝ってからネックレスを渡す。ゆずきは嬉しそうに受け取って、ありがとうと笑う。その笑顔に俺はまた惚れてしまう。 次に、クリスマスだ。深山家と合同パーティーを開いて、騒ぐ。夜、俺とゆずきだけで出かける。自動販売機でココアを買って、公園のベンチに座る。2人で寒いなぁ、なんて言いつつも、立たずに座り続ける。急に俺が真剣な顔になって、それにゆずきが気付く。どうしたの、と言い終える前に俺が好きだ、と告白する。ゆずきはリンゴのように顔を真っ赤にして、俯く。小さな声で私も、って言って。俺はゆずきを抱きしめて。幸せだ、なんて言いながら笑って。意外と涙脆いなゆずきは泣いていて。俺はそれをからかいながら笑う。本当に幸せだと空を見上げるんだ。

それから月日がたって、ゆずきが結婚したい年に合わせてプロポーズをする。もちろん、この店で指輪を買う。ゆずきは泣いて泣いて、言葉にならない声ではい、って言うんだ。

なんて、幸せな夢なんだろう――……。
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