最期の時間を君と共に

すっごい噛んだ……。疑われるかも、そう思ったら、案の定女の人はまだ首を傾げたままだ。あははー、と空笑いをする。全く今の状況にいらない邪魔な笑いだが、空笑いをせずにはいられなかった。

「……城山 夕輝(シロヤマ ユウキ)です」

首を傾げながらも、名前を教えてくれた。

「ありがとうございます」

内心すっごい喜んでいるのだが、悟られないように冷静にお礼を言う。言ったあと、シロヤマ ユウキ……、と何度も頭の中でリピートする。こうでもしなければ、家に着くまでに忘れてしまいそうだ。

「合っておりましたか？」

「え？あ、あぁ、合ってました。実は、ユウキ……さんの友達の親戚なんです。……キ、キリトが何度もユウキさんの話をしていたので……」

結構自然じゃね……？背中に冷や汗がつたるのが分かる。

「へぇ……、そうだったんですね！これはこれは……」

嬉しそうに女の人は笑う。ユウキさんを知っている人に会えて嬉しいんだろう。……何だか申し訳ない。
カランカラン、店の中に人が入ってきた。かなり話し込んでしまったな。