最期の時間を君と共に
「ここでちょっと食べてくかな……」

俺の大切な人。宮内 晴馬、目の前にある店のテンチョ。
closeの文字がドアに掛けられているが、気にせずドアを開ける。ぎぃぃ、と低い音を鳴らしてドアが開く。

「どちらさんだ?」

テンチョの声だ。

「誓」

自分の名前だけを言う。多分、テンチョは誓は相変わらずの面倒くさがりやだなと笑うだろう。

「お前か。ほんと面倒くさがりやだなぁー。挨拶くらいしろよ」

ほら。テンチョは奥から笑いながら出てきた。ボソッと呟くくらいの大きさで一応挨拶をする。こんな俺に呆れたように、わざとらしい大きなため息を吐いたあと、ずっしりと椅子に座った。

「昼飯か?だいぶ昼過ぎてるが」

「そ。ちょっと出かけてて遅くなった」

「……あれか?ゆずきちゃんへのネックレスを買いに行ってたのか?」

目をめいいっぱい見開いた。こんなどストレートに当てくる人いるか?
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