最期の時間を君と共に
「はっはっはっ、言っとくけどな、俺は覚えてるからな?誓と初めてあった日」

こんな物忘れの激しいテンチョが覚えているなんて……。

「……意外」

「ちゃーんとカレンダーに書いてんだよ」

自慢げに鼻を高くして言うテンチョ。

「さ、なに食べる?」

テンチョはよいしょ、と腰を浮かしながら聞いてくる。俺は間髪入れずにいつものやつ、と答える。

「了解」

テンチョの料理は特別美味しいことはない。でも、何だか安心できるような、懐かしいような味がするんだよな。だから、テンチョに作ってもらういつものトンカツ定食が好きなんだ。

「ゆずきちゃん、いい子そうじゃねぇか」

「“いい子そう”じゃなくて、いい子なんだよ」

「大事にするんだぞ。あんな子、滅多に見つからないんだからな」
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