最期の時間を君と共に
大事にって……。俺は明日で最後の奴。できることなんて……。

「明日で最後だけどな」

後ろめいたことを言うと、テンチョはお前は……と、声が荒くなる。

「明日で最後だからってなんだよ。最後だから大事にできねぇのか?」

そりゃあ、とんだ馬鹿者だ、と挑発するように付け加えた。

「……馬鹿じゃねぇからな、俺は」

「はいはい」

さっきまで苛立つような口調で喋っていたテンチョはもう消え去っている。いい匂いが漂ってくる。テンチョのトンカツの匂いだ。

「へい、できたぞー」

「ありがと。いただきまーす。……んー、変わんないな」

変わらない、テンチョの味。

「変わってほしかったか?」

「変わらないでほしい。これから先も」
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