最期の時間を君と共に
「さ、中入りましょ。寒いでしょ」

「あぁ」

3人揃って、リビングに続く廊下を歩く。いつもはバラバラなのに、今日は揃ってだなんて違和感がある。

「……甘くね?」

リビングに入った途端、甘い匂いが鼻孔をくすぐる。バター……っぽい。

「よく気づいたわね!クッキーを焼いていたのよ、さっき。食べる?熱々よ」

手作りクッキーは甘すぎす、苦すぎすで、結構好きだ。店のクッキーは苦手だけど。

「食べる」

「よし、とってくるわね!」

母さんは机の上に置かれた皿から、いくつかクッキーを取り出し、手にのせてきた。

「はい、どうぞ。今回はちょっと甘さを控えめにしたの。どうかしら?結構美味しくできたと思うんだけど」
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