最期の時間を君と共に
お母さんはニコニコ笑って、受け取ってちょうだい、と威圧をかけてくる。

「……ありがとう」

「どういたしまして」

去年はネックレスだったよね。貰ったその日に壊れちゃったけど……。今年はなんだろう。

「ケーキは夜食べるからね」

「うん」

いつもなら、チョコケーキ!なんて言って騒ぐんだけど、今年は……。

「……今日よね、誓くん。悔いの残らないようにするのよ」

お母さんに真っ直ぐに見られる。捕えられた私の目は、金縛りにあったかのように動かなくなる。

「うん……」

悔いの残らないように、ね。ずっとずっと、1番近くで誓を見てきた。1番近くで見ていたら、たくさんの魅力に気づいた。その魅力に惹かれて、恋をした。……もちろん、この恋を誓は知らない。今日で最後だから今日言うべきなんだろうけど……。最後の最後で気まずくなったら嫌だ。
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