最期の時間を君と共に
「さっ、朝ご飯作るわよー。今日は特別に果物付きね!」

お母さんはケラケラと笑っている。いつもはこんなに煩くないのに……。あまりにも普段と違うお母さんに、小さな笑みが溢れる。

「なによ、笑っちゃって。なにかおかしい?」

「ううん。なにもないよ」

「ふぅん。まぁ、いいわ。早く作らなくちゃ」

お母さんはせっせとキッチンにいく。私はテレビをつけ、ソファに座る。私の体の重みで少し沈む。

『今日は昨日の寒さから一転、暖かな日になるでしょう』

そうなんだ。誓日和じゃん。

――ブブ ブブ

ポケットにしまっていたスマホがなる。これはLINが送られてきた音だ。送り主は誓だ。

“今日は、1日中遊ばねぇか?この街でさ”

“うん!遊ぼう”

やったやった。1日中遊べるなんて……!しかも、見知らぬところじゃなくてこの街で。でも、いいのかな……?今日が最後だろうに……。まぁ、私が誓と同じ状態だったら、迷いなく誓と遊ぶだろうな。好きな人と一緒にいたいもん。……もしかして、誓は私のことを……?いやいや、そんなわけないよね。自惚れちゃだめだ。
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