最期の時間を君と共に
「シリアスな雰囲気の中申し訳ないけど、できたぞ?」

手に袋を掲げたテンチョが立っていた。

「あっ、ありがとうございます。おいくらですっけ?」

「お金はいらないさ」

少し、テンチョとの距離が近くなる。お金はいらない……?

「い、いや……そんな、払いますよ」

ふるふると勢いよく顔を振る。それでもテンチョは断る。

「その代わり、約束してほしいんだ。これからも、ゆずきちゃんがここに通うって」

テンチョが私以上に上手なウインクをした。テンチョの見えない威圧におされ、渋々頷いた。

「ありがとな、テンチョ」

「あぁ。楽しむんだぞ」

私もありがとうと伝えたいけど、2人のこの空間を壊したくないなぁ……。ひっそりと存在感を消す。

「ゆずきちゃん」

「はっ、はい」

「ふはっ。ゆずきちゃん、誓を頼んだよ。最高の……、誓を泣かせられるような1日を」
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