最期の時間を君と共に
微笑んだテンチョの目尻に薄らと透明ななにかが浮かんでいる。必死に堪えてるんだ。テンチョだって、誓と一緒にいたいと思ってる。最後の最後まで、誓の姿を見たいと思ってる。だけど、この私に頼んでくれている。みんながいたいと思う場所を、私が独り占めしている。……しっかりしなくちゃ。

「はい……。皆の思いを背負って、誓の隣にたちます」

「頼んだよ」

しっかり、受けました。目で伝える。

「じゃ、行くぞ」

テンチョの店をあとにした――。
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