最期の時間を君と共に
「これ……、シュークリーム?」

「そ。ケーキ屋行ったら、必ずってぐらい買うだろ?……だからさ」

「ありがとう!……食べていい?」

私は目の前に出てきた美味しそうなシュークリームにテンションが上がる。誓は苦笑しながらも、頷いた。

「誓も食べようよ」

「食べねーよ。サユリさんにあげて」

残念……。しゅんと肩を落とすと、誓は私の頭をポンポンと叩いてくれた。私はニヤニヤするのが我慢出来なくて、ニヤニヤを見られないように笑みを浮かべた。

「いただきます!」

はむ、と大きく口を開けてシュークリームを頬張る。手にしていたシュークリームがぐちゃりと崩れてしまう。でも、そんなことはもうどうでもいい。シュークリームが美味しすぎるんだ。

「おいひーっ」

「わーったから、ちゃんと噛め」

えへへ、と効果音がつきそうなくらいだ。幸せすぎる……。はむはむとシュークリームを口にしながら、誓を見る。腕時計……?滅多に腕時計しないのに。しかも、やけに時間を気にしているような……。なにか、あるのかな。これから用事があったり……?でも、今日はずっと一緒にいるって……。うーん。聞きたいけど、無意識に口がシュークリームを食べる。聞いちゃダメって言ってるのかな……?そんなわけないか。
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