最期の時間を君と共に
いやいや……。まてよ。俺はこれまで24時間と決まった時間を分けて生きてきた。ときに、時間なんとなくればいいと思ったときもあるが、やはり時間がないと生きていくことは難しい。
……まさか、天国に時間がないとは。慣れてくるとか本当かよ。

「モカも分かんねぇの?」

「えぇ、もちろん。誰も分からないですよ」

先が思いやられる……。

「次行きますね。ここでは、欲しいと思ったものを口にすれば出てきます」

さすが天国だな……。色々な意味でため息を吐く。

「今、欲しいものは?物でも、食べ物でもなんでも構いませんよ」

「……いちごパフェ」

すると、目の前にキラキラしたものが現れる。しゃらしゃらと音が鳴る。なんだ、これは……。しかめっ面で見ていると、小さな机が現れ、その上にいちごパフェとスプーンがのっている。とても美味しそうだ。

「このような感じです。食べ物の場合、食べ終えてから10分経つと、勝手に消えますので放っておいてください。お風呂なども、このような感じでお願いします」

ああ、だからなにもないのか……。せめて、テーブルは元からあってほしかった。

「あとですね、誰か遊びに来ることがありますね。他人の部屋に入る場合は、私の許可が必要となります。自分の名前、相手の名前、理由、を話していただきます。ですので、不審者のような方は来ませんのでご安心ください」

おぉ……。いちいちめんどくさいが、この制度のようなものがなくなって不審者が来るのも困るし。天国なだけあって、かなりいい場所じゃん。
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