最期の時間を君と共に
「と、まぁこれくらいですかね。なにかご質問は?」

「生活のことじゃなくてもいいか?」

「大丈夫ですよ。なんでしょう?」

俺は、まだ新しい記憶を引っ張り出す。不審に思われながも、聞いた名前。ここで聞かなきゃ、店員さんに聞いた意味が無い。

「シロヤマ ユウキって人知ってるか?」

合ってるよな……、合ってるはず。1人でに首を傾げたり、頷いたりする。

「シロヤマ様ですか……。少々お待ちください」

モカの手元がひかりだし、分厚い辞書のようなものが現れた。そこに亡くなった人たちの名前がのっているんだろう。俺の名前をのっているのだろうか……。

「あぁ、はい、いますね。城山様がどうかされましたか?」

「会いてぇんだけど……」

そう言うと、モカの顔が険しくなる。会えないと言うことか……?

「……城山様は、誓様と同じように未練解消に挑まれました。ですが、失敗し、消滅されております。ですので、お会いすることはできません」

「え……」

消滅……?背筋に冷や汗がつたる。もう、会えないんだ……。
いや、まて。なんであの店員さんはシロヤマ ユウキを覚えていたのだ?確か、消滅すると皆の記憶から消されて、この世にいなかったようにされるんじゃ……。

「俺、店員さんに聞いたんだ。シロヤマ ユウキって人を。消滅したなら……」

「稀にあるんです。影響力が凄くて、心の中で生き続けている場合が。きっと、シロヤマ様の影響力が凄かったんでしょうね」
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