最期の時間を君と共に
そんなことがあるんだ……。もし、俺が消滅してしまっていたらどうなっていただろう。ゆずきの心で、生き続けていただろうか。いや、そんなことは考えないでおこう。ちゃんと、成功したんだから。

「他には?」

「いや、ねぇよ」

「了解しました。これから過ごしていく中で、なにかありましたら何なりとお申し付けください」

なんか、見た目天然な感じなんだけど、口調だけはきっちりしてるんだよなぁ……。変な感じだ。

「あ……、それとですね。誓様に会いたいという方がいらっしゃるのですが、今大丈夫ですか?」

俺に、会いたい奴……?ついさっき、こっちに来たばかりだというのに?誰だ?俺は、誰だよと言うように目で訴えかけると、モカは楽しそうにふふふと笑った。

「実際会うのは初めてでしょうけど、何度も見てる方ですよ。どうします?」

ますますこんがらがる。俺は、考えるより実際会ったほうが早いと思い、オッケーを出した。

「分かりました。実は、もうドアの前におられるんですよ。……どうぞ」

なら、そうと言えよ!もし俺が断っていたら、どうしてたんだよ……。わざわざ足を運んでくれたというのに、返すのは可哀想だ。オッケーを出してよかった。
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