最期の時間を君と共に
やっべぇ……。今、すっげぇ嬉しい。あまりの嬉しさに顔が自然と綻ぶ。

「……あの」

なんで俺を知っているんですか、そう言おうとしたのだが、リイチさんの声によってとめられる。

「座って話そうか。立ってだと、疲れるだろう」

俺の部屋じゃないんだけどね、と無邪気に笑った。俺も、そうですねと口角を上げなら座った。

「さて、なにか言おうとしたよね?」

「はい。なんで、俺を知っているんですか?お会いするのは、初めてですよね……」

真剣に聞いているというのに、リイチさんはくくっと喉をならして笑った。よく笑う人だなぁ。いろいろな種類の笑いを、笑う人。素敵な人だ。

「ずっと見ていたんだよ。君は気づいていないだろうね」

「ず、ずっと!?」

俺は大きな声を出してしまう。リイチさんはたえられないといった感じで、吹き出して笑いはじめた。
これはドッキリなのか?よくあるよな、こういうドッキリ。いや、でも初めてあった人にするものか?

「本当さ。まぁ……、多分、君も直々この意味が分かるだろうよ。今はこの話題は逸らしておこう。……ちなみに、君が告白していたのも知っているからね」

にやり、意地悪そうに口角を上げる。そんなところまで見られていたのか……!なんだか、恥ずかしい。
< 274 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop