最期の時間を君と共に
「誓様!」

リイチさんが出ていった途端、部屋に声が響き渡る。これは、モカの声だ。

「なんだよ、モカ……」

「すみません。今、大丈夫ですか?」

しゃらしゃらとした音と共に、モカが姿を現した。少し興奮気味だ。顔が生き生きしている。

「大丈夫だけど」

「ありがとうございます!先程、誓様の歓迎の品のほうが出来ましてですね。お渡しに来たんですよ」

歓迎の品が出来た、だぁ……?できたってなんだ。できたって。作ったというのか……?

「あちらを見ていてください」

モカの真っ白な指先の指すほうに、俺は視線を向ける。すると、いきなり光りだした。眉間にシワを寄せ、その様子を静かに見守る。

「これですっ」

「なんだよ、これ」

現れたのは、映画館のスクリーンより一回り小さなスクリーン。おいおい、歓迎の品がスクリーンだってか?

「見ていてくださいよー?……はいっ」

「え……」

モカがリモコンのような物をいじると、スクリーンに泣いている女――ゆずきが映った。結構、高画質で見やすい。

「どうです?ビックリされました?」
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