最期の時間を君と共に
女の子はたちまち笑顔になり、楽しそうに滑り台の階段に駆けていく。

「お姉さん、ごめんなさいね……」

「いえいえ、遊びたくていたわけじゃないので」

母親は申し訳なさそうに眉を下げる。

「ママ!みてみて、お空がちかいよぉ」

上を見ると、女の子が空を見ていた。その大きな瞳には、きっと、私と同じ青空がうつっているわけではないのだろう。どんな風に、うつっているのかな。

「ハル!危ないから、やめなさい。落ちちゃうわよ」

「はぁーい」

母親はかなりの心配性なのか。顔には、焦りの文字が浮かんでいるようだ。
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