最期の時間を君と共に

その通り、ドアはすんなり開いた。1歩入ってみると、左の男の人がゆっくりと振り向いた。私たちは、閉まっているのに入ったのだ。でも、男の人……彼は、微塵も慌てたりしない。誓が事故にあったことを知らず、誓が来たのだと思っているのだろうか。実際、誓なんだけど。でも、事故だと知っていたとしたら、冷静すぎやしないだろうか。それか、他にも許可を得てる人がいて、その人だと思っているのだろうか。たくさんの疑問が生まれる。

「久しぶり、テンチョ｣

「……誓、か？誓なのかっ？」

まじまじと店長さんを見ると、酷くやつれている。

「お前……っ、事故で……」

どうやら、事故のことは知っているらしい。ということは、他にも許可を得てる人がいるのか。と、さっきの私は思うが、店長さんの顔を見た私はもう1つ考える。疲れていて、反応ができなかった。このどちらか2つだな。