1ページの物語。
-放課後-
「放課後ってこんなにまだ人が残ってたんだね」
「まぁ、お前いっつも速攻帰ってたもんな」
「私は忙しいのです」
「嘘つけ」
静かだと予想していたのが教室から見るグランドは案外色んな部活動をしている生徒で騒がしい。
授業中に眺める風景とはまた違った風景があったなんて知る由もなかった。
「こんな風景あったなんて知らなかったな…」
「2年間もいたのにな」
「そうだね…知らないことばっかりだ」
「…今更寂しさ溢れてきた?」
「うん…寂しい」
自分にこんな感情があるなんて思いもしなかった。
「……転校しても頑張れよ」
「人見知りの私だからなぁ…友達できるかな」
「できる……多分」
「多分かよ…少しはっ…慰めてよね」
「…悪い」
不器用な彼が気まずそうな表情が何とも言えない気持ちにされる。
今日は色々大発見だな…。
「ねぇ、先生」
「ん?」
「先生のこと好きだった…みたい」
「…なんっ…だそれ」
「えへへ、今気づいたから私も何が何やら」
「お前は本当っ……でも、ありがとな」
「うんっ」
今日気づいた初恋は今日で終わる。
明日からはもう来ないこの学校に残して行く。
「じゃあ先生、ばいばい」
「あぁ、さよなら」
笑顔で涙を流した初めての日だった。
【放課後】