1ページの物語。
-勝負-


今日も君と勝負をする。

計2戦一発勝負の恒例行事。



「「最初はグー、ジャンケンポンっ!」」


「やったー4連勝」


「また俺かよー…お前なんでそんなに強いの…」


「フフ、秘密っ」



あいこの次に絶対チョキを出す癖。


『わざと』作った癖を知ってると得意気に笑う君が内心とても可愛く感じる。



「じゃあはい。今日もよろしく」



【時間割ノート】と書かれたノートを笑顔で渡されると、12月17日と書かれたページを捲る。



「…なんでこの学校は時間割が曜日で定着されてないんだろうな」


「さぁね〜。そんなこと言ってないでさっさと私の分の明日の時間割書いて下さーい」


「へいへい」



後ろの黒板に書かれている明日の時間割を見ながらノートにシャーペンを走らせながら横目で君を見る。


「なぁ」


「ん?」


返事をする君は、明日にはない授業の教科書を後ろのロッカーに入れる準備をしている。

これは第2戦の準備だ。

負けたら面倒くさいな…。



「お前って好きな人いるの?」


質問した瞬間、君は真っ直ぐと俺の顔を見るからつい目を逸らした。


「…なんで?」



君はいつも元気で、可愛くて、冗談にも乗ってくれたり、優しく、ツンツンする時もあるがデレる時はデレて


「…聞きたいの?」


クラスの男子のマドンナ。


こうやって質問をしながら後ろの野郎共が聞き耳を立てているのも知っている。



「……ちょっと気になって」



ちょっと…そう言いつつも本当は気になりすぎて夜も眠れませんなんて少女漫画にありがちな思いもする程気になっている。


「恋人のイベントがもうすぐあるからさ、どうすんのかなって。

2年間クラスが一緒の俺的には気になるからさ」



君は知らないだろう。


「あぁ、あのイエス様の誕生日ね……じゃあ…先に教えてくれたらいいよ」


入学式に見た君に見惚れた事も



「…ほら、書けたぞ」


毎回一緒のクラスと知ってガッツポーズした事も


「ちょっと、質問に答えなさいよ」


隣の席になってきっかけになればと、この勝負事を提案した事も


「書いた」


隣のクラスのイケメン野郎が君に告ると聞いて焦って、わざと負けてこの勝負を持ち込んだ事も


「は?時間割をでしょ?私が聞きたいのは」


「だから書いた…って」


「……え」



きっと顔を真っ赤にした君は知らないだろう。



「答え…教えろよ」



【1時間目】お


【2時間目】前


【3時間目】が


【4時間目】好


【5時間目】き


【6時間目】だ


【備考】24日彼女として遊んでもらえませんか?




「…そういう事だから。で?お前は?」



この勝負は勝利を願ってやまない。



【勝負】

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