ナナクセ探し 中学生編
「じゃ、真ん中の足から、1、2、1、2……」

ゆっくり進む練習をしていると、松木と篠田のコンビが軽快な二人三脚で近付いてきた。

「何か、お前ら随分とぎこちないなぁ。」

そうでしょうとも。

松木たちは息もピッタリ、身長も俺たち程離れてなくて、やり易そうですとも。
ほっといてくれ。


「光子、もっとちゃんと村上くんにつかまらないと、危ないわよ。
恥ずかしがってないで。

電信柱だとでも思って。」

俺は電信柱か?
松木より、1センチ低いんだぞ。


「じゃ、もう一度。
1、2、1、2……」

外野は無視して練習する。

うん、何とかなりそうだ。





運動会の当日、練習の成果が実って、かなり良いペースで走れてバトンを次に渡す事ができた。

だが、俺がついつい、歩幅を広げ過ぎたようで、彼女は辛そうだった。

身長がかなり違う上に、か弱い女の子なのに、無理をさせてしまったと反省する。

「足、どう?」

運動会も終わり、帰り仕度をしていた彼女に聞いてみる。

「心配してくれて有り難う。大丈夫だよ。」

「見せて。」

「え、でも……。」

渋る彼女をベンチに座らせ、膝間付いて足首を見る。
かなり赤黒くなっていた。
男の俺とは、皮膚の作りも違うのだ。



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