ナナクセ探し 中学生編
フォー♪♪♪♪
口下手で気の利かない俺は、毎日のように部活で忙しかったので、彼女をデートに誘うどころか、二人で話す事もろくにしなかった。

試験も近くなり、異性の事など考えてる場合ではない筈なのに。
受験生だという事を忘れてしまいそうだ。


「あと、20点ずつアップしろだなんて、無理だよ~!」

篠田相手に愚痴をこぼす川野の声が聞こえてきた。

「村上君に教えてもらえば。」

篠田の声がする。

勉強ならば、多少は教えてやれそうだ。
一緒にいる時間も増えるだろうし。

「一緒に勉強する?」

俺がそう言うと、クラス全体が聞き耳をたてているのが感じられた。

彼女は目を白黒しながら、言った。

「お願いします。」

俺は心の中でガッツポーズを作った。



彼女の勉強がはかどるように、昼休みは教室で、放課後は図書室で勉強した。

間違っても、二人きりになる訳にはいかなかった。

彼女の香りを感じる度に、抱き寄せたくなってしまうのだから。

信頼を裏切らない為にも、『真面目な好青年』を演じて見せなくてはならなかった。

俺たちの年頃は、多かれ少なかれ頭の中ではエッチな想像をしているものだが、そんな気持ちを見せるにはまだ早すぎると感じる。

二人きりになる事は避け、何とか試験当日までこぎつけた。

彼女は素直な、良い生徒だった。


「俺、教師になりたいかも。」

思わず、そうつぶやいていた。
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