ナナクセ探し 中学生編
「村上君って教えるの上手すぎ。
何でこんなのが分からなかったんだろうって、自分が嫌になっちゃう。」

唇をとがらせて川野が言った。

可愛らしすぎる。
人前で抱き寄せる訳にもいかないので、頭をポンポンした。

「これって、クセ?」

そう彼女が言った。

「そうかもな。でも、川野だけにな。」

本当は抱き締めたいんだとは言えない。

「試験終わったら、どっか行くか?」

俺がそう言うと、目を見張り、返事に詰まる彼女。

「篠田たちもな。」

脅えさせないように、一歩ずつ進まなくては、と自分に言いきかせた。

彼女はホッとしたように、うなずいた。



試験の結果はと言えば、俺は復習になったので、凡ミスも無くかなり良い点がとれた。

彼女は、と言えば、紙が水を吸い取るかのようだった手応え通り、教師から言われた20点アップはクリアしたようだった。

嬉しそうな顔を見ると又、理性を保てと自分に言い聞かせなければならなかった。
< 22 / 48 >

この作品をシェア

pagetop