ナナクセ探し 中学生編
翌日の放課後に二人で話をした時に、彼女が恥ずかしそうに言った。
「昨日は、眠っちゃってご免なさい。
せっかくの…………デート……だったのに。」
後半、聞き取れない程小さい声になる。
いじらしい。
「気持ち良さそうだったから。」
「あ、あの、重かったでしょう。」
「平気だよ。」
「あの、えーと、その…………。」
赤くなってうつむいて、モゴモゴ言っている。
キスされたかどうか、聞きたいのだろうか?
「うー、えーと、その、よ、よだれ服に付かなかったですか?」
「は?」
「だから、よだれ。」
よだれ?
ああ、そうか。
そんな事気にしてたのか。
「いや、大丈夫だったよ。
よだれ、出たの?」
からかい半分に聞いてみる。
「だって、俯いて眠ってたから気になって。
手でゴシゴシしてたら、宏美にキスしたのかって聞かれちゃうし。」
「え?!」
「あ、やだ、余計な事言っちゃった。
じゃ、またね。」
えーと、川野はよだれを気にしてて、篠田はキスしたのかって聞いてきたという事か?
引き留めてキスしようか、とでも言えば良かったかなと少し後悔した。