ナナクセ探し 中学生編
やっとたどり着くと、広い館内には夏休み中の学生の姿がチラホラと見えた。

どこに座ろうか、と見渡していると、松木と篠田がいた。

「よう。」

小声で挨拶を交わす。
邪魔しないように、離れた所の席を探そうとすると、隣に座れと促された。
では、とそこに座り勉強を始めた。


10分位した頃、誰かが近づいてくる気配を感じて見ると、川野が側に来ていた。

「あ……どうも。」

間抜けな声が出た。
どうやら、最初から篠田と待ち合わせしていたようだった。

何も言わず、俺の隣に座る。
10日間位会わなかっただけだが、私服の彼女は大人びて見えた。

思いがけず会えた嬉しさで、ドキドキしながら、勉強を進めた。




夕方、図書館から外に出ると、爽やかな風が出てきてた。

4人で自動販売機で飲み物を買って水分補給をしてやる。

「この三日間、俺たち3人で図書館で勉強してたんだ。
そのうち、村上が来ると思ってさ。

お前も誘おうと思ったんだけど、川野が恥ずかしいって言うからさ。
ばったり会うのを待っていたんだ。」

松木が説明する。

「そうか。」

俺も三日続けて会いたかったと思うが、わざわざ電話して待ち合わせるのは恥ずかしいって思う気持ちも理解できた。
今日会えて良かった。

「本当にお前ら、もどかしいのな、
電話するのが嫌だったら、別れる前に次の約束しておけよ。

俺はどうでも良いんどけどさ。
宏美がやきもきして困るんだよ。

な、ちゃんとしっかりしてくれよ。」

余計なお世話と言えばそれまでだが、松木たちに心配をかけたようだ。
礼くらい言ってもバチは当たるまい。

「松木、悪かったな。サンキュー。」

「さて、帰るか。
村上もちゃんと送って行けよ。」

そう言いながら、松木と篠田が帰って行った。
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