ナナクセ探し 中学生編
「私、部屋に帰った方が良いかな……?」

とても淋しそうな声だ。

「…………そこに座っていて欲しい。」

本当に情けないけど、自分を押さえる自信がなかった。

なのに、なるべく長く二人きりでいたいのだ。

「うん、わかった。」

彼女が座り直す気配を感じて顔を上げて見ると、部屋のなるべく隅っこに座っていた。

俺とは対角線の、端と端とだ。



「うちでね、犬を飼っているんだけど、『もんちゃん』って言う名前のミニチュアダックスフンドなんだ。

私が帰ると、もう、全身でお帰り~!なでて~!!って感じで寄って来てね。
とっても可愛いんだよね。

あ、村上君、犬、好きかな?」


「うん。」

「そっかー。良かった。

ちょっと人見知りで、お客さんが来ると吠えるんだけど、あれって、自分の家族を守ってるつもりなんだと思うんだよね。

自分のお仕事だって思っているんじゃないかなぁ。

吠えなくて、誰にでもなつく犬も良いけど、一生懸命に小さな体で吠えて、怪しい人を追っ払おうとしてくれてるのを見ると、とてもいじらしく思えちゃってね。

まあ、うるさくて困るんだけどね。
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