ナナクセ探し 中学生編
「お待たせ。

あら、何か、暗くない?

なに話していたの?」

篠田が話かけてきた。

「別に。」

つい、ぶっきらぼうに返事をしてしまう。

松木がにらんできたようだ。
自分の彼女にそっけない態度をとったのが、気に入らなかったらしい。

「悪い。何でもない。

さ、自由時間が終わる。部屋に戻ろう。」


布団を被って寝てしまおう。
それが、一番良い事のように思えた。





翌日はプラネタリウムの見学があった。
席順は自由だったので、カップルは隣同士に座っていたようで、気付いたら川野が隣に来ていた。

俺は星好きという程でもないが、嫌いでもなかったので、プラネタリウムは結構楽しみにしていた。

小学校1年生の時に別のプラネタリウムに来たきりだったが、昔と違ってアニメの物語等も取り入れていて、より分かり易く、より興味をひくように作られているのが感じられた。

興味深く見いっていると、左側の太股をつつかれる。

目をやると、松木が何やら目配せをしていた。

奴が篠田と繋いだ左手を指し示すのが見えた。

そうか、川野と手を繋げという合図なのか。

俺の、右側に座っている川野を見ると、体の前で両手を重ねていた。

彼女の手を握ろうとすると、何だか自分が痴漢にでもなったような気がしそうなので、止めておいた方が無難だろう。

尚も松木がせっつくが、無視を決め込む事にした。


俺と松木が何やら合図しているのに気付いたのか、はたまた、俺がチラチラ見ていた事に気付いたのか、彼女がこっちを見ていた。


目が合う。

俺が右手を出すと、嬉しそうに微笑んで左手を乗せてきた。

まぁ、いつも手を繋ぐ事と同じだよな、と自分に言いきかせる。

ロマンチックな星空の下でも、想い出を作る修学旅行でも同じく、ただ手を繋いだだけだ。

うん、俺は大丈夫。

そう、言い聞かせ続けた。




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