君の隣で花が散る
れおは麺をお箸で掴み上げてみせた。


「そうそう」

「これは、美味しいから」

「どういうこと?」


私は首をひねった。


「楽しいからスポーツをするとか、面白いから本を読むとかあるだろ」

「あー趣味みたいな感じ?」

「それに近い感じだ」

「へぇ〜」


私は口の中にあるものをぐっと飲み込んだ。


「しゃあ、太らないの?」

「まぁな。消化じゃなくて消失だからな」


消失?

なんだそれー。

私も欲しいよその能力。

食べたものを消失させる能力。


「お前も悩むほど太ってねぇぞ」

「えっ」


今嬉しいこと言ってくれた気が......。


「なに?もう一回言って!」

「うるせえ。静かにしろ」

「ねえ、焦らさないでよ〜」


太ってないって言ったよね?

嬉しい!たとえそれがれおだとしても。


「でも、なくなっちゃうの?
それはもったいなーい」

「騒ぐな、うるさい。
お前のもなくなっているぞ」


私の?


「あっ!」


手に持っている包み紙を見る。

そこにはチーズバーガーは跡形もなく消えていた。


「もう終わったんだったらいくぞ」

「どこに?」
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