君の隣で花が散る
「お前はここになにしに来たんだ?」

「あ!洋服」


忘れていた。

完全に忘れていた。


「昼飯ももう食べたしな」


れおのざるそばも綺麗になくなっていた。


「片付けるぞ」

「うん」


私は包み紙をゴミ箱に、れおはお店にトレーを返しに行った。



「いくぞ」


私たちは再び人混みの中を通り抜けていく。


お昼どきが過ぎてもショッピングモール内での人の数は増えるばかりだった。

あまり人が集まるようなところに行かない私は、どこか緊張していた。


「俺が選んでおくからお前は30分後にここに来いよ」

「わかった」


返事はしたものの私の心は別のところにあった。

ショッピングモールの中を自由にまわれるということだ。


ここに来る途中などで見かけたシュークリームのお店はすごい美味しそうだったし、
こじんまりとした雑貨屋さんはとても可愛らしいのが置いてあったのを見た気がする。


そんなとこに行けるなんて!
ワクワクしてきた。
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