君の隣で花が散る
「杏花を悪霊から守ることもあるんだけど......」

「ん?」


「体が勝手に動いたんだ、考える前に」


れおが俯く。


「なんでだろ............」


ぼそりと呟くれお。


え、そんな空気にされたらますます気まずくなるでしょーー!


「守りたいって思ったんだよ」

「え?」


どういうこと?


「なんでもない、帰るぞ。あほ」

「あほってなによーー!」


鼻息を荒くして、私はベッドから立ち上がる。

荷物をまとめ、靴を履き、鞄を背負う。


「行くぞ」

「う、うん」


忘れ物はないか、と一度後ろを振り向き忘れ物はないのを確認し、私たちは保健室を出た。



秋が終わりを迎え、冬の風が私たちを包んでいた。


私たちは歩いた。

いつのまにか私たちの物語が幕を開けていたなんてら知らずに。
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