君の隣で花が散る

雪の溶けるような時間

私は、自分の机に鞄を置き、席に座った。


窓の外には白い雪が舞う。

ふわりふわりと地上に降り立ち、あたりを白く染める。

冷たい風が窓をがたがた鳴らす。

登校のときと比べれば、この教室はだいぶ暖かいんだけど、それでも寒い。

二月に入り、コートなしでは外に出れない状況になっている。


「ねぇ、バレンタインどうする?」

「ちかちゃんは上野君にチョコ、渡すの~?」


近くの席の女子の会話が耳に入る。


あ~、バレンタインか~。

人と関わってこなかったからチョコとか作ったことないな。

ましてや誰かにチョコをあげるなんて一度もない。


......でも、れおにはあげたほうがいいかな?

なんだかんだいって、いつもお世話になっているからね。


「んー......」


思わず唸る。


女子は大変だね。

毎年、この時期にはあげるあげないで迷っているの?!

すごいね。


それでも、普通の女子憧れるけどね......。
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