君の隣で花が散る
「なあ、バレンタインってさ」


放課後。屋上。

いつもの二人の空間。時間。

既に日常と化していた。


「ん?」


あ、れおって死神だからバレンタイン知らないのか。


「バレンタインはね、女の子が好きな相手や好きな友達とかにチョコを渡す行事だよ」


ちゃんと説明できたっ!

私も昨日雑誌見て知ったんだけどね。


「違う。そういうことじゃなくて......」

「え?」

「なんでチョコなんだろーな?って」


あ~。

なんでなんだろう?

チョコ会社がそう仕向けたっていう話を聞いたことあるけど......


「わかんないね」

「まあいいや。杏花は誰かにあげるの?」

「まだ決まってない」

「そっか」


チョコ、れおにあげるべきか?

せっかく雑誌も買ったしなぁ......

あげたほうがいいのかな?


「どうした?」

「え、なんで?」

「唸ってたけど」


唸っていたんだ私。

気をつけよ。




空は晴れていた。

雲一つない青空だった。
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