君の隣で花が散る
やっぱり聞こえた。

慌てて体を起こし周りを見る。


誰もいない。空耳かな。


「ちょっと疲れているみたい」


口に出して言ってみる。


屋上を静寂が包む。

やはり誰もいないみたい。


勘違いだったようだ。



私は大きく欠伸をして重い瞼を閉じようとした。



「っおい!」



ゴンっ



急いで起き上がった私の額と、声の主の額がぶつかった。


「いった~」


おでこを両手でおさえる。


ぶつかった相手を見てみると最近見たような顔が。

誰だろう。



「あっ」



おもわず、その男の子を指差す。
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