黒猫の香音(前編)
「…それでも俺達は綺麗な華を踏み潰してでも前に進まなきゃ行けねぇんだよな…?
そりゃ悔しいよ…!
四年待っても見つからねぇんだ、四年だぞ…!!?
これ以上待ってもしょうがねぇんだよ…!!!
…うぅっ…うっ…………」
「瑠華…」
滅多に人前で涙を見せない瑠華が嗚咽交じりに泣き崩れる光景を見て香音は只々心を痛めた。
開店時間はとっくに過ぎているのにその日は看板を返す事すら忘れてしまっていた。
_数日後。
その日はそこそこ客が多くいつも物静かな『黒猫』が賑わいを見せていた。
「いつもこんなん…じゃないわよね、この店。」