犬系男子に振り回されてます…
「天音さん、お花好き?」
妙に幼い甘ったるい声で一言そう聞かれ、成宮の方に目を向けるとテーブルに頬杖を付きながら、こっちをじっと見つめていた。
トロンとした目に前髪が少しかかってるせいか、いつもの無邪気さな感じとは裏腹に。
色っぽく気だるげな雰囲気に見え、不覚にもドキッとした。
なんで、たかが成宮なんかにドキッとしてんだ私は…。
慣れてないレディーファーストとか、されたせいだ。
そうだよ。不覚にも優しくされて、いつもより成宮が男らしく見えたせいだ。
こんなの錯覚だ、錯覚。錯覚に違いないさ。
私は別に成宮が好きなわけじゃない。
いや、今は強くそう思いたい…。
これ以上、成宮に振り回される前に。
さっさといつもの自分のペースに戻らないと。
ふん、コイツなんかに惑わされるもんかっ!!