犬系男子に振り回されてます…
「んー…くれあ……」
起きるかと思えば、今度は寝言を呟く成宮。
その表情は優しく、微かに微笑んでいるように感じた。
『くれあ』それは、きっと多分。
あの子の名前だろう。
寝ぼけて私を彼女だと思い込んでいるのか、前からギュッと抱きつかれる。
ハァ…お騒がせ者なんだから。
無意識な行動だから、こっちとしては悔しいんだよね。
抱きつかれて何とも感じないなんて…
そんなワケないっつーの!
やっぱり、成宮見てると腹立つ…。
「私は“くれあ”じゃないし、なに寝ぼけたこと言ってるのよ…ていうか、抱きつくなぁ!!」
壁に頭を打つ成宮なんて、そんなのお構い無しに引き剥がす。