上司な同期は激甘サンタ
ポツリポツリと事情を話してくれる山口さんは、泣きそうなのに最後まで泣く事なく話し切った。

その姿はまるで自分には泣く資格がないのだと言っているようで。聞いている私だけがボロボロと泣いていた。



泣き止まない私に「本当に優しいのね」と言ってくれるのが心苦しくて、私達は話を終えるとすぐに別れた。

きっと彼女は1人でしか泣かないのだ。

私に事情を説明して少しすっきりとしただろう今夜、はやく彼女を泣かせてあげたかった。沢山泣いて、前を向いて欲しかった。


さようなら、と歩き出した山口さんの後ろ姿に心の中でエールを送って、私も歩き出す。


でも歩き出した途端、私の目にはまた涙が浮かんでしまう。


私が泣いたところで、彼女の気持ちが楽になるわけじゃないんだから。こんな涙、いけないんだ。
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